
2000年 1月
飯田譲治 |
アナザヘブン |
貴志祐介 |
十三番目の人格 ISORA |
仙道直美 |
萌の朱雀 |
藤木稟 |
陰陽師鬼一法眼 |
| 飯田譲治 「アナザヘブン」 |
殺害した人間の脳を、シチューやグラタンにして食べるという猟奇事件が発生し、2人の刑事がその真相に立ち向かって行く。
犯人は、人間でない”ナニカ”。 人間の脳に入り込んでいる”ナニカ”。 そんな”ナニカ”に翻弄され、傷つけられ、そして滅ぼすために命をかける彼らが見つけた真実とは。
なかなかホラー色の濃い小説で、怖がりの私としては、ちょっと寝つきの悪い思いもしたけど、最後に近づくにしたがって、この小説は未来の世界への警鐘なんだなぁと思った。
人間が誰でも持ってる悪意や、毎日流される残酷な事件、この世界は本当に悪意に満ちているけど、そんな悪意だけに支配されない善なものを人間は持っていて、戦う事が出来る。 ”悪意”のアナザヘブンにも青空はあるのだから・・・
人の心を読み取れるエンパスの由香里は、阪神大震災後の西宮でボランティア活動をしていた時に、千尋という多重人格の少女に出会う。
人格の統合をしようと試みる、由香里とカウンセラーの浩子の前に立ちふさがる、震災後現れた残忍な人格の”磯良”。 一体、彼女の正体は何なのか?
”多重人格”を主題にしてる小説はたくさんあるけど、この作品は、”そういうのもありかな”っていう、まったく新しい考え方で、ミステリーというよりはSF的な感じです。
話としては面白かったんだけど、由香里が好きになる男性が、な〜んか優柔不断で、ラストに彼がとる行動とそれまでの彼のイメージがちょっとかみ合わない気がしてしまいました。 ま、それだけ由香里を愛してたってことなんでしょうが・・・
神戸に住んで震災の経験もある私には、作品の端々に出てくる情景に、ちょっと感慨を覚えました。
奈良の村に住む”みちる”が、祖母、両親、いとこの栄ちゃんと暮らしていた、4回目と18回目の夏の物語。 18回目の夏、父は鉄道建設の仕事が中止になり自殺、家族は静かに崩壊していく・・・
静かな、静かな物語。 家族一人一人の想いが、みちるの目を通して、本当に丹念に描かれてます。
父の死によって、家族が直面する孤独感や寂しさから、少しずつ立ち直り、ひとりでも立ち向かう強さを得ていく姿には感動しました。
住み慣れた家を離れるトラックの中で、みちるが思い出す日々の風景に、都会暮らしの私にも何か郷愁のようなものが感じられ、思わず涙が溢れてしまいました。
時は鎌倉時代。 源頼朝に殺された恨みから怨霊と化した源義経は、足軽の兵衛を騙し、封印を解かせ、鎌倉幕府に様々な災厄をもたらす。 そして、陰陽師の頭、金銀妖瞳を持つ鬼一法眼と、頼朝に恨みをもつ怨霊たちとの戦いが、切って落とされた。
この作者なら、もう少し独特の陰陽師が出てくると思ってたんですが、案外ありきたりな感じがしました。
でも、だいたい”いい人”に書かれることの多い義経を、怨霊(おまけに顔は天狗になったりして・・・)にするところなんかは、あんまり他では読んだ事ないですね。
私は、法眼の式人形になってる、”二郎丸”がかわいくって好き。。。(ほんとはイカツイ鬼みたいな、おっさんなんだけどね)