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2000年 11月

小池真理子 他 ゆがんだ闇
上野正彦 死体は生きている
椹野道流 遠日奇談
藤木稟 鬼を斬る
響野夏菜 東京S黄尾探偵団
少女たちは十字架を背負う
古屋葉月 五条霊戦記
恩田陸 puzzle
森博嗣 幻惑の死と使途
森博嗣 夏のレプリカ
椹野道流 蔓蔦奇談

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小池真理子他  「ゆがんだ闇」   角川ホラー文庫  

 小池真理子・鈴木光司・篠田節子・坂東真砂子・小林泰三・瀬名秀明という、ホラー作家六人によるアンソロジー。

 面白かったのは、小林氏の「兆」と瀬名氏の「Gene 」。
 「兆」はなかなか怖かった。 自殺した友達が「兆」という者になって、自分のところにやってくるって話なんだけど、じわじわ迫ってくる怖さがあって、最後の「どんでん返し」もなかなかだったです(^^)
 「Gene」は、「悪魔のゲノム解析」をゲームの中でやっていくという、はっきり言って半分以上意味が分からん話(^^ゞ
 でも、「パラサイトイブ」と「BRAIN VALLEY」の世界と同じように、専門用語ズラズラの話なんやけど、なんか引き込まれた。
 いつか、悪魔の真っ黒い羽の生えた人間も出来るのかなぁ・・・(怖)

上野正彦  「死体は生きている」   角川文庫  

 元東京都監察医務院長をしていた著者によるノンフィクション。

 「解剖」って聞くとなんかイメージが悪かったけど、「自ら語る事なく死んだ人の最後の声を聞いて、死者の生前の人権を擁護している」という監察医の姿勢に感銘を受けました。
 でも、前に監察医務院で、解剖した人から臓器を勝手に採取して資料にしてたことが問題になってたけど、たとえ法律に違反してないことでも、もっと遺族に対しての細やかな心配りを大切にしてほしいな。
 検死とは直接関係ないけど、ホモセクシャルの関係の事を事細かに書いてあるのには笑ったぁ(”鶏姦者”とか書いてあるし(^_^;))
 ”やおい”もまんざら嘘でもなかったんか・・・と思ったりして(笑)

椹野道流  「遠日奇談」   ホワイトハート文庫  

 森と龍村の初めての事件、小一郎の赤ちゃん時代、龍村と河合の出会いとか、高校時代の2人が活躍する「奇談」番外編。

 龍村センセって、ほんっとに森には無くてはならん存在やったんですねぇ♪
 2人が出会わなかったら、森はとっくの昔にボロボロになって死んでただろうし、きっと敏生を愛するような優しい心も持てなかっただろなぁ・・・
 それにしても、河合さんと龍村センセって、出会った時から険悪だったのね。(ま、龍っちゃんが一方的にやけど(^_^;))
 早く大人になって、自分が森を守ってやる・・・な〜んて考えるところ、ちょっと「麻利と新吾」の夢殿さんを思い出してしまったのは私だけ?
 高校時代から今も、優しくて頼りがいのある龍村センセ。惚れてます♪♪

藤木稟  「鬼を斬る」   祥伝社文庫 

 明治初頭、奈良県吉野では次々と子供が”神隠し”にあい、神社の再建と架橋工事に派遣された立花は、その地にまるわる恐ろしい伝説に巻き込まれていく。

 日本の宗教はほんとに不思議な事が多くて、寺なのに「神像」祀ってたり、寺の子供が神社に七五三参りに来たり・・・
 この話も、大和民族が朝鮮からやってきたとか、伊勢神宮が祀ってるのは「天照大神」なんかじゃなくて「猿田彦」や「孫悟空」だとか、朱雀十二男爵(朱雀十五のおじいちゃんらしい)のウンチクは楽しいです♪
 中篇の割りに、ストーリーもしっかりしてて、最後で出てくる「鬼」たちにはぞっとさせられました。
 人間の皮をかぶった「鬼」が、本当は一番怖いのかもしれないなぁ・・・(ーー;)

響野夏菜 「東京S黄尾探偵団 少女たちは十字架を背負う」   コバルト文庫  

 天野行衡は、ある朝突然、母親の再婚相手の子供(いわゆる義理の弟)五月に会い、いつの間にか黄尾高校の保健室にある探偵事務所のメンバーにされてしまう。 今回の事件は、少女連続誘拐事件。 事件の裏には、売春組織と神父の影が・・・

 挿絵がかわいいから、もっとお気軽なストーリーかと思いきや、結構マジなんでびっくりした(^^ゞ
 神父のなんとも歪んだ信仰は、過去にどんなことがあったって許せないよなぁ。
 だいたい、罪を浄化するのは神様のする事とちゃうの!ったく(怒)
 でも行衡と五月兄弟のやりとりは、めっちゃかわいい♪
 怪我でテニスが出来なくなってちょっと屈折してる行衡と、頭が良すぎて寂しい人生を送ってきた五月。
 きっと2人でいれば、傷も癒えて幸せがやってくるよね(^v^)

古屋葉月  「五条霊戦記」   角川ティーンズルビー文庫  

 源氏と平家の戦いで荒廃しきった京の五条に、平家の武者を殺しつづける鬼がいた。 鬼の名は「遮那王」。 そして「五条の鬼を成仏させて光明を得る」と誓う「弁慶」。 2人が出会った時、もう一つの「義経」、「弁慶」の物語が始まる。

 マンガと小説を読んだんだけど、各々視点が違ってて面白かった♪
 義経を題材とした話はよくあるけど、これだけ現実離れしたストーリーもなかなか無いと思うわσ(^◇^;)
 遮那王が鬼になってしまう哀しさは、マンガの方が納得出来たし、弁慶の哀しさは小説の方が分かった。
 これに映画も足して(実は見てない・・・)、この「五条霊戦記」は完成なのかも??
 見てないけど、浅野忠信の「遮那王」は、ちとイメージちゃうなぁ・・・(^_^;)

恩田陸  「puzzle」  祥伝社文庫 

 廃墟になってる孤島を訪れた二人の検事は、体育館の餓死死体、屋上の墜落死体、映画館の感電死体、自殺か殺人か分からない3つの死体の謎を探る。

 この世でないような島で、この世で起こりえない死に方をしている3人。 なんか物凄く現実離れしてるんだけど、「軍艦島」をイメージすると、案外受け入れられてしまう・・・
中篇じゃなく長編で、2人の検事の事とか、死んだ人たちの事とかをもっと知りたかったな。 
 丁度ドラマで「軍艦島」を見たせいか、情景が手にとるようにわかって「そうそう、あの辺に学校あったわ」なんて、行った事もないくせに、読んでる間)はまさに目の前に廃墟の島が見えるような気がしてた。(ま、ちょっとそれは大袈裟か(笑))

森博嗣  「幻惑の死と使途」   講談社文庫 

 天才奇術師”有里匠幻”が、マジックショーの最中に殺され、霊柩車に乗せたはずの彼の遺体も消え失せる。 犀川と萌絵は、匠幻最後のトリックを暴く。

 私は結構マジックショーは好きで、子供の頃からTVでやってると必ず見るし、初代引田天功の”脱出マジック”もよく見てました。
 マジックっていうのは、タネを明かしてしまうと「なぁんだ」って思うけど、知らない時はほんとに不思議で、目なんかキラキラしながら見つめてる気がする。
 そんな私がこの本をワクワクしながら読んだのは当たり前の事で、特に遺体の消失のトリックには、「やられた〜」って思った(^^ゞ
 誰もが気付きそうだけど、あまりにも大胆すぎて誰も気付かないんだよなぁ。
 森氏の作品は、「ん?」っていうラストがあるけど、この作品は気持ちよく騙されました(^^)
 それにしても、犀川センセのジョーク、ますます理解に苦しむのは私だけ??

森博嗣  「夏のレプリカ」   講談社文庫  

 ”有里匠幻”の事件と同時に起こっていた、萌絵の友人、蓑沢杜萌の誘拐事件。 家族も別荘に拉致されるが、犯人が仲間割れで殺し合い、無事解決したかに見えた。 しかし、そこにある真相に萌絵は気付く・・・

 今回は萌絵ちゃんが大活躍。 でも、それは結構哀しい結末なんだよなぁ・・・
 殺された方はもちろん、なんか殺した方も救われない。
 何の為に殺したのか、誰の為に殺したのか、ただ何かに「勝つ」為だったら、あまりにも哀しすぎる(T_T)
 それにしても、今回の萌絵ちゃんは、大切な友人が巻き込まれた事件のせいか、いつもより人間的だったような(笑)

椹野道流  「蔓蔦奇談」   ホワイトハート文庫 

 敏生に、京都の病院から「父親が会いたがっている」という電話が入った。 3年前に父親に絶縁されたが、死期の迫った父親の最後の頼みと知って、敏生は京都へと赴く。

 今回は、敏生と父親の話ってことで、ちょっと番外編っぽいです。
 このお父さんも相当素直じゃないけど、何も言わずにいきなり愛した女に去られたら、誰でも意固地になるわなぁ(^_^;)
 そして、本当は愛してるのに、素直になれない今の奥さんも哀しい・・・
 それでも敏生のお蔭で、少しはこの2人の溝も埋められたかもしれない。
 誰にもぶつけようの無かった2人の心を、弱っちいけどしっかり受け止めてあげてたから。
 ま、今「ちょ〜幸せ」の敏生だから、そのくらいの苦労は買ってでもしろってか?(笑)