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2001年 2月

桐野夏生

光源

椹野道流 暁天の星
小野不由美 黒祠の島
西風隆介 真なる豹
山本文緒 ブルーもしくはブルー

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桐野 夏生  「光源」   文藝春秋

 低予算のロードムービー。 その映画を作る為に女性プロジューサーが集めたのは、元恋人のカメラマン・生意気な新人監督・かつて自分が売り出したスター俳優・ヘアヌードで話題を作った元アイドル。 彼らの中に錯綜する愛と憎しみと野望・・・ 

 今まであまり好きな作品がなかった作家だけど、この小説は私好みでした。
 元名監督で今は半身不随の夫を持ったプロジューサーが、マンションを売ってまで得た6千万で撮る映画。 それは結局、身勝手でわがままな映画人たちが枯れた夢を追いかけてる感じがした。
 でも、作中で作られていく映画は、本当にその場面が目に浮かぶようで、この映画をホントに見てみたいって思ったりして・・・(^^ゞ

椹野 道流  「暁天の星」   講談社ノベルズ

 法医学教室を舞台にしたミステリー。 駅のホームから転落した女性と、道路に飛び出して車に轢かれた女性の死体には不思議な共通点があった。 その死体に不信を抱いた伊月とミチルは、彼女たちの隠された過去の恐ろしい真実に行き当たる。

 「奇談シリーズ」を書いてる作者だけど、この小説は彼女の「監察医」としての経験がフルにいかされてます。 
 死体の描写はやっぱりすごくリアルで、寝る前に読んでるとちょっと夢見が悪かった・・・(^_^;)
 でも、少しづつ暴かれていく、死んだ2人を含めた4人の少女の過去。 子供だからこその残酷さ。 これは結構怖いです。 
 そんな中でもホッとさせてくれるのは、伊月と筧のやりとり♪
 少年時代に「伊月が好きやから友達になって」と言った筧と、「俺が好きやったら、XXをどついてこい」と言ったという伊月。
 久しぶりに再会した筧が伊月を「タカちゃん」と呼んだりして、なかなかかわいい二人っす(^▽^)V  

小野 不由美  「黒祠の島」   祥伝社NONノベル  

 池袋の調査会社に勤める式部は、仕事のパートナーである葛木志保から自宅の鍵を預けられた。 3日後に帰ると言い残し、その日を過ぎても帰ってこない彼女を捜す為、式部は彼女の生まれ故郷であるらしい「夜叉島」を訪れる。 そして、独自な奇妙な宗教を持っているその島で、因習に満ちた惨劇の幕が上がる。

 どこか、横溝正史を彷彿とさせる孤島ミステリでした。 
 いやぁ、怖かった〜(;゜0゜)

 何が怖いって、めちゃくちゃ酷い殺され方をしてても、「それは神様が与えた罰」ってことで、みんなが納得してしまう島の人達・・・「閉ざされた世界」でただ一つの宗教を守って生きてきた人たちの盲信さが怖かったです。
 ストーリーは二転三転して、最後ですべての謎が一つにまとまっていきます。
 ほんとの悪とはなんなのか? 罪に値する罰は誰が与えるべきなのか? そんな事を少し考えてしまったけど・・・
 それにしても、「屍鬼」と同様、人間関係が複雑で、イマイチ名前を覚えるのが苦手な私は家系図が欲しかったなぁ(笑)

西風 隆介  「神の系譜U 真なる豹」   講談社ノベルズ

 「竜の封印」に継ぐ第2弾。 マサトとまな美と土門の「歴史部」の3人は今度は日光の由来を探りにやってきた。 そして、日光を案内してくれる幸子から”甕”を見せられ、それを聞いた竜介は”甕”に封印された記憶を持つ少年から、過去にあった殺人事件の真相を暴きだす。

 前作同様、も〜頭の中がぐちゃぐちゃです・・・( ̄◇ ̄;)
 とにかく、仏教や寺の由来とか「古事記」とか、そして今回はキリスト教の由来まで、どんどん話が広がって整理しきれないうちに次のうんちくが始まるという・・・
 でも、今回は「日光」という(ま、行った事はないんやけど)有名な場所が舞台だったし、子供の頃に日曜学校に行ってたせいか、ちょっとは知ってるキリスト教のうんちくだったんで、まだ何とか理解できたかな(^^ゞ
 伝記的な所と、心理学的な所が共存してて、「1粒で2度おいしい」って感じです。

山本 文緒  「ブルーもしくはブルー」   角川文庫

 佐々木蒼子は6年前に結婚したが、今は夫とは冷めた関係で、職場に年下の彼氏がいる。 彼氏との旅行の帰り福岡に寄った彼女は、街で過去に愛した男性を見かける。 その彼はなんと自分とそっくりで、過去の記憶も同じ”ドッペルゲンカー”の<蒼子B>と結婚していた。 そして彼女<蒼子A>はお互いが入れ替わる事を提案する。

 背表紙に「恋愛ファンタジー」って書いてあるんだけど、私には「恋愛ホラー」に思えた(^_^;)
 ”ドッペルゲンカー”ってのも怖いけど、本体も分身も結局は同じ人間だから、考えることも同じ。
 お互い自分こそが本体であろうとして争うとこなんか、もうホラーとしか思えないような・・・
 でも、こういう入れ替わりって、誰もが憧れることだけど、どこかには落とし穴があって、結局「ないものねだり」とか「隣の芝生は青く見える」って事になるんやろうなぁ。
 それでも、<蒼子A>も<蒼子B>も、お互いが入れ替わった事で得られたものは、(無くしたものの方が大きいかもしれないけど)きっと今から芽吹いてくる小さな幸せの種なのかもしれない・・・