
2001年 8月
スコット・スミス |
シンプルプラン |
藤原伊織 |
雪が降る |
恩田陸 |
三月は深き紅の淵を |
篠田真由美 |
月蝕の窓 |
貴志祐介 |
天使の囀り |
高里椎奈 |
銀の檻を溶かして |
| スコット・スミス 「シンプル・プラン」 扶桑社ミステリー |
雪山で墜落した小型飛行機を見つけたハンクと彼の兄とその友達。 その飛行機には死体と、そして440万ドルの現金が残されていた。 彼らはその金を確実に手に入れる為、10ヶ月間沈黙を通す約束をするが、欲望が彼らを狂わせ始める・・・
面白い!!結構分厚い本なんだけど、一気に読めてしまいます♪
でも、本当に恐い話でした・・・ほんの少しのきっかけさえあれば、人はどこまでも罪深くなれてしまう(ーー;)
この主人公は決して根っからの悪人じゃなくて、どこにでもいる普通の人間なんだけど、一つの罪を隠す為に次々と罪を重ねてしまいます。
どこからでも引き返せると思いながら、結局後戻りできずに何もかも失ってしまう。
大金が手に入るという欲望は、こんなにも人を狂わせ残酷な未来を用意するんだろうか・・・
| 藤原 伊織 「雪が降る」 講談社文庫 |
ハードボイルドあり、サスペンスあり、ハートウォーミングあり・・・藤原伊織のいろんな面が味わえる、6つの短編集。
藤原伊織の書く男が本当に好き♪
それは、中年でも青年でも少年でも、みんなどこか影を持ってて、でも心の中には熱い塊を持ってる。きっとそこに惹かれるんだろうな。
今までの作品にはないような、ちょっと心温まる「ダリアの夏」が私のお気に入りです♪
ドラフトに指名されるくらい野球に才能があったものの、今はすべてに挫折してデパートの配達員をしている男。
彼が出あった、元女優の妻と元監督の夫、そして野球の下手な彼らの息子・・・
大きな出来事があるわけじゃないけど、なんだかしみじみ心に沁みた話でした。
| 恩田 陸 「三月は深き紅の淵を」 講談社文庫 |
その本は存在してなく、存在しており、これから書かれようとしており、今書こうとしている。そんな「三月は深き紅の淵を」という不思議な小説を巡る4つのミステリー。
不思議な小説です。作中作である「三月は深き紅の淵を」っていう小説は、誰か高名な作家が匿名で出版した幻の小説なんだけど、その小説自体はどこにも出てきません。
第1章は、ある会社の会長が一人の社員を招き、「三月〜」を探してる老人たちと延々と本の話を語り明かす。
第2章は、編集者の女性2人が「三月〜」の作者を探しに電車に乗って出雲に向かう。
第3章は、2人の女子高校生の死にまつわる謎を調べるうち、意外な真相に辿りつく。
第4章は、「三月〜」を今から書こうとしている作者の考えと、もう一つ別の話が同時進行する。
どの話もとても不思議で、でも少し恐くて、どこか足元がグラグラするような不安定感があります。
でもそれは決して嫌な感じじゃなくて、いつまでもその世界につかっていたいような、もっともっと別の「三月〜」にまつわる話を読みたいと思うような・・・
できるなら、本物の「三月は深き紅の淵を」を読みたいなぁ〜(^v^)
| 篠田真由美 「月蝕の窓」 講談社ノベルズ |
15年前、忌まわしい事件があった洋館「月映荘」。 京介はその洋館の調査を頼まれ那須に赴く。 そして惨劇は起こり、容疑は過去の事件で生き残り、その時から精神的に不安定な少女に向けられる。 しかしそれは呪われた館の真相に複雑に絡みついているのだった。
久々の建築探偵シリーズ。(”蒼”の短編集はあったので、本編という事で)
今回は京介が一人で悶々と答えの出ない問いかけばっかやってて、暗いのなんの(笑)
でも今回の話は、館というより人の記憶が主題になってて、マインドコントロールとか暗示によって事件の本質が隠されているので、謎解きはドキドキして面白かったです♪
珍しく京介がハードボイルドちっくな窮地に追い込まれたりして、いつになく体張ってます、彼(^^ゞ
傷めつけられる京介にちょっとそそられる私。ふふふΨ(`▽´)Ψ
深春と蒼がいるからこそ、この世界に人間として繋ぎとめられてるという京介。
彼の過去が明らかになる日は近いかも??
| 貴志祐介 「天使の囀り」 角川ホラー文庫 |
精神科医の早苗は、病的に「死」を恐れていた恋人が、アマゾン調査隊に参加し帰国してからは異様に「死」に魅せられ自殺してしまい、他のメンバーも異常な方法で自殺しているのを知って、アマゾンで何が彼らの身に起こったのかを調べる。 そしてインターネットで人生相談をするHP「地球の子供たち」。 アマゾンで手に入れた「天使の囀り」の恐怖が広がっていく・・・
恐い、恐すぎる・・・そして、キモい、キモすぎる・・・( ̄◇ ̄;)
アマゾンの調査から帰ってきたメンバーが異様な死に方をし、「地球の子供たち」というセミナーに参加した者たちも異様な死に方をする。
その死に方がほんとに恐くて、みんな自分が一番恐れてたものに魅せられ死んでいくんだけど、これがも〜凄まじい!!!
中でも一番恐かったのは、家中大っ嫌いだったクモだらけにしてしまう青年。
私も虫は大・大・大っ嫌いだから、想像するだけで、眩暈と吐き気がぁぁぁぁ〜{{(>−<)}}
でも物語はそれだけでは終わらなくて、どんどん真相が明るみに出る辺りでは、食欲の落ちるほどの恐怖がっ!
それにしても、「囀り(さえずり)」をず〜っと「嘲り(あざけり)」と思って読んでいた私。
後半に入って、やっと間違いに気付いたといふ・・・でもきっと他にもこんな奴はいるはず、よねぇ??
| 高里 椎奈 「銀の檻を溶かして」 講談社ノベルズ |
「深山木薬店」を営む、秋・座木・リザベル。 彼らは何を隠そういわゆる”妖怪”である。 彼らは表向き”薬屋さん”だが、実は”探偵事務所”も兼任している。 今回は、悪魔と契約してしまったおじさんと、息子の幽霊に悩まされる母親が相談に来る。
口は悪いし性格も悪い、でも誰の心もとろかすような笑顔も持ってる秋。も〜好みです〜♪♪
実はすっごい歳食ってるみたいだけど、とにかく可愛かったら私はよいのじゃ!
リベザルもちっこくて可愛いし、座木はかっこいい。
こんな薬屋があれば、毎日どっか病気作って通っちゃいますぅ♪(笑)
でも、妖怪が営んでる薬屋ってことで、ちょっとファンタジーなのかと思いきや、これが結構まっとうなミステリーなのです。
事件は結局、人間のエゴや憎しみといったドロドロした感情が引き起こしたもので、秋が真実を明らかにした時、なんだか人間の方がよっぽど妖怪(と言ったら妖怪に失礼なんだけど)なんじゃないかと思ってしまいました(ーー;)