2002年 2月

黒武洋 そして粛清の扉を
須賀しのぶ 流血女神伝 帝国の娘 前・後
宮部みゆき 模倣犯 

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黒武 洋   「そして粛清の扉を」     新潮社  

 荒廃したある高校の目立たない女教師、近藤亜矢子。 彼女は卒業式の前日、担任のクラスの生徒29人を人質に教室に立てこもる。 そしてマスコミや警察に身代金などの要求を次々出すが、その間に、殺人や強盗を犯していながら証拠がなくて罰せられなかった生徒たちを、彼女は次々と粛清していく。

 結構話題になってた本で、「バトルロワイヤル」と比べられたりしてたかな。
 教師が何のためらいもなく、自分の生徒をどんどん殺していくっていう、あらすじだけ聞くとすごく残酷でイヤな話みたいなんだけど、これが読んでみるとある意味爽快感があったりして・・・(^_^;)
 ニュースを見てて酷い事件の量刑の低さに腹が立って「死刑にしたらいいのに」って思ったり、暴走族のバウバウうるさいバイクの集団を見て「みんな事故れ〜〜〜!!」って叫んでみたり、私の中にもそういう残酷な感情ってある。
 亜矢子を見てると、そういう普段の怒りとかを肩代わりしてくれてるっていうか、「どんなに残酷な殺され方をしてもこんな奴らは当たり前」って何の罪悪感も持たなくて、ただ傍観者でいるだけでいいから気分もスッキリするんだろうなぁ。
 ”読み物”としては、私は楽しく読めました♪ 

須賀 しのぶ   「流血女神伝 帝国の娘 前・後」     コバルト文庫  

 ルトヴィア帝国の村で平凡に暮らしていたカリエ。ある日彼女はエディアルドという男に拉致され、彼女と瓜二つの皇子アルゼウスの身代わりとなるべく教育される。病に伏せっている皇子の影武者として、皇位継承者が入るカデーレ宮に来たカリエを待ち受ける運命とは?

 向こう見ずで惚れっぽくて、でも何があっても全然くじけないカリエを見てると元気になるっす♪
 登場人物もみんな魅力的で、エディアルドはアルゼウス皇子に心酔しててカリエに冷たいけど、ほんのちょっと優しいとこもあるし、宝塚ばりのグラーシカはも〜めっちゃかっこいいし、サルベーンはまだまだ怪しいとこだらけだし、とにかく個性的♪
 カデーレ宮で皇子の身代わりとして暮らすカリエと皇子3人とのやりとりはほんとに楽しかった。
 なのに、なのに・・・(T_T)
 これはシリーズ化してるみたいで、まだまだカリエには次から次へといろんな事が起こりそうですO(^-^)O

宮部 みゆき   「模倣犯 上・下」     小学館  

 豆腐店を営む有馬は、公園で発見された女性の腕が失踪した孫娘のものでないかと疑う。 しかし、その腕は孫娘のものでないという犯人からの電話があり、有馬と腕の発見者の少年真一は、史上最悪の犯人に振り回される事になった。 被害者宅への電話、TVの生放送への電話、不適な態度を取っていた犯人が交通事故で死亡するという結末で事件は解決したように見えたのだが・・・

 長かった・・・重かった・・・でも読み応えはタップリでした(^v^)
 とにかく一人一人の人物描写がすごい!! 
 ちょっとクドイかなぁって思うとこもあったけど、人間ってほんとに何度も迷って結論を出すもんだし、それをここまで書ききれるってとこがやっぱりスゴイっす(゚o゚)
 ストーリーは3部に分かれてて、1部は被害者や警察の視点から、2部は犯人の視点から、3部はすべてが終わったと思われたところから書かれていて、どんな訳の分からないような事件でも、1本1本こんがらがった紐をほどいていけば事件の真相がはっきり見えてきます。
 最後の方まで、ほんとに胃が痛いというか、こんなにも世の中は真相を見抜けずに犯人の手のひらで踊らされてるだけなのか?って腹が立つけど、やっと最後の最後でスッキリしました。
 腕の発見者になってしまった真一。家族をみんな殺された事を自分のせいにしてきた彼が、この事件を通して有馬のおじいちゃんと出会い、少しづつ自分の力で立ち直っていく姿が、痛々しいんだけど勇気付けられる。
 人間はどんなに残酷な仕打ちを受けても、絶対立ち上がって真っ直ぐ前を向いて歩いていけるって。


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