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2002年 4月

氷川透

最後から2番目の真実

重松清

ナイフ

石田衣良

波の上の魔術師

浦賀和宏

記憶の果て

藤原伊織

蚊トンボ白鬚の冒険

坂東眞砂子

       2002年3月       2002年5月      

氷川 透   「最後から2番目の真実」     講談社ノベルズ

 女子大の教員をしている先輩に呼び出された氷川透。 先輩や女子大生たちと推理小説談義に花を咲かせている中、一人の女子学生が屋上から逆さ吊りにされ、警備員の死体が見つかる。 建物への出入りは開閉記録で管理されている為、犯行時に中にいた氷川たちは容疑者になってしまう。 一体犯行はどうやって行われたのか? 

 今回は氷川くんの協力な助っ人(?)、ぶっ飛び女子大生”祐天寺美帆嬢”が大活躍です。
 いやぁ、 「わたくしは〜ですわ!」なんて時代錯誤な話し方といい、他人の迷惑なんて全く顧みないとこといい、こういうキャラは好きですぅ〜
 それになんか美帆嬢の解決編の方がなんだか納得出来る気がするんだけど・・・氷川くんの解決はまどろっこしくて理解不能になってしまうもんでσ(^◇^;)
 でも、あのしつこいくらいの推理の中に、よくわかんないジョークを入れるとこは結構好き。
 それにしても”読者への挑戦”があっても、全然私には挑戦されてないんですけど。だって全く分かんないんだも〜ん(笑)

重松 清   「ナイフ」     新潮文庫

 イジメられてる子供と、イジメられてる子供を持つ親。 いろんなイジメ”との闘いを描いた5編の話。

 ”イジメ”というのは、イジメられている子供だけじゃなくて、その家族にまで影響していく。
 いじめられてる事を相談されない親、気付いていても問いただせない親、いじめられてる子供をしかる親。
 本当はどう子供に接するのが正しいのかなんて分からない。 でもみんなもう一度小さな幸せを取り戻す為に闘っていこうとする。 
 どの話もラストは希望が持てて、それまでの胃の痛さもスッと引いていくようでした。
 そして、イジメの傍観者の少女が若くて死んだ父親の仏壇に向かって言った言葉。
 「あなたの娘は、落ち込んだり後悔したり言い訳したり開き直ったりしながら、元気です」
 電車の中で思わず涙ぐんでしまった私でした・・・

石田 衣良   「波の上の魔術師」     文藝春秋

 就職浪人でパチプロのような毎日を送っていた白戸則道の前に、ある日謎の老人が「ぼくの為に働かないか」と声をかけてきた。 何が何か分からないまま、則道が与えられた仕事は「まつば銀行」の株価の終値を毎日ノートに書き写すことだった。 それは小束老人がしようとしている大掛かりな”仕掛け”の第一段階だった。

 ほんとに面白かったです♪ 
 株の話や変額保険や競売や、あまり耳慣れない言葉が多いんだけど、主人公の則道も素人同然なので小束老人が説明してくれ、私でも無理なく理解できました。
 バブルの頃に銀行と生保が組んで作ったという「融資つき変額保険」。
 バブルがはじけて、このツケを払わされる事になった人達の為に、元凶となった「まつば銀行」をぶっ潰す計画を立てる彼ら。
 でも、銀行だけが悪いのかといえば、やはりよく考えずに保険に入った人も悪いんだけど、小束老人にはどうしても復讐したい理由があって・・・
 そういう人情的なところと、コンピューターを使った情報合戦みたいなところがバランスよく組み合わさって、一気に読んでしまいました♪
 どんどん違う面を見せてくれる石田作品。 これからも期待です(^v^)
 

浦賀 和宏   「記憶の果て」     講談社ノベルズ

 大学入学1ヶ月前のある日の朝、安藤直樹の父親は書斎で自殺した。 自殺の理由は分からないが、部屋には黒いコンピューターが残され、電源を入れると「あなたは誰?」という文字が・・・「安藤裕子」と名乗る少女は父が作った人工知能なのか?

 これはミステリーなのかSFなのか青春小説なのか、イマイチ分類が難しいです。
 「安藤裕子」の正体を突き止めるあたりはミステリーとして面白いし、人工知能とか脳の話は少し瀬名氏の「BRAIN VALLEY」を彷彿とさせてSFっぽいし、主人公のどんどん内側の世界に入り込んでいく暗さは青春小説っぽい不安定さがあるし・・・。
 きっと好き嫌いが分かれそうな作品だけど、私はハマってしまいました(^_^;)
 これを19歳で書いたなんて、ほんとすごいです。
 とにかくこの一冊だけではまだ何がなんだかだし、3冊は読め(byぐっしぃ)という事なので、がんばります♪

藤原 伊織   「蚊トンボ白鬚の冒険」     講談社

 ある日達夫は、カラスに追われた蚊トンボが頭の中に入ってしまい、羽音と不思議な声を聞くようになる。 達夫は蚊トンボ”白鬚”のせいで不思議な力を持つようになり、その力でオヤジ狩りにあっていた隣人の黒木を助ける。 黒木は株で巨額の損失を与えたせいで暴力団に追われていて、達夫はいつの間にか闇社会に足を踏み入れてしまう。

 イオリンの久々の新作。 今回は蚊トンボが頭の中に入るってSFなのか?って感じだったけど、イオリン節は健在でした♪
 珍しく若い男の子が主役だと思いきや、やっぱりいつものおっさんのようにどこか生きる事に投げやりだし、そのくせ賭けるものがあれが命がけだし・・・
 最初は”白鬚”の存在って、絶対必要だったのかなって思ったけど、読んでくにしたがってやっぱり必要なんだと思った。
 両親もいなくて、ランナーも心臓のせいで諦めなくちゃならなくて、ただ生きているだけだった達夫が、”白鬚”の出現で生きる意味を見つけたっていうか、何に向かって走ればいいかを教えてくれたっていうか。
  達夫と白鬚の冒険は、きっと幸せな夢の中へ消えて行くんだろう・・・「命みじかし 恋せよ乙女〜」(ゴンドラの歌)

坂東眞砂子   「蟲」     角川ホラー文庫

 古い石の器を夫が持ち帰った夜から、めぐみは子供の頃に祖母に連れられて行った「虫送り」の夢を見るようになる。 そしてある日、「サンクチュアリ」という都会に出来た植物園で夫の体から巨大な緑の虫が出てくるのを見てしまう。 石の器に書かれてあった「常世蟲」の意味とは?

 虫嫌いの私が読んだのは間違いでした・・・( ̄◇ ̄;)
 いやぁ、も〜気持ち悪い〜〜〜!!!
 虫、虫、虫の文字のオンパレードで、文字を見ただけで頭の中に蚕とか毛虫とかがグルグル回って、電車の中で顔が歪んでしもた・・・
 しかし、なんかもっと恐い事になるのかと思ってたけど、意外とそうでもないような。
 ある意味恐いかもしれんけど、意外といい世の中になるかもしれんし・・・