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2003年 4月

宮部みゆき パーフェクト・ブルー
乙一 夏と花火と私の死体
乙一 天帝妖狐
椹野道流 琴歌奇談
高村薫 マークスの山
井沢元彦 逆説の日本史7 中世王権編

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宮部みゆき   「パーフェクト・ブルー」     創元推理文庫     

 蓮見探偵事務所の加代子と元警察犬のマサは、家出少年の諸岡進也の捜索を依頼され、彼を探し当てて自宅へ連れ帰る途中、進也の兄で高校野球界のスーパースター諸岡克彦が焼き殺された現場に遭遇する。 進也と蓮見探偵事務所の面々は克彦の死の真相を探るが、そこにはある製薬会社の暗い過去がひそんでいた・・・

 高校球児が焼き殺されるっていうすごくショッキングな出来事と、製薬会社が過去にやった投薬実験で脅されてる話。 
 マサの一人称と製薬会社の社員木原の話として交互に語られて、それがすこしづつ近づいてきて真実が明らかになってくるんだけど、その真実は何ともやるせないというか、あまりにも腹立たしいというか・・・
 でも大企業が犯した罪に怒りを感じるけど、高校生の克彦がどんなバッシングも覚悟の上ですべてを公表しようとしてた事には救われるなぁ(T_T)
 宮部作品の男の子たちは、ちょっとひねくれてるとこもあるけど、とっても純粋で優しくてナイーブ♪
 進也も強がってるけど、誰よりも両親思いで兄思いで・・・なかなか両親には分かってもらえなかったけど、これからは蓮見探偵事務所の大切な一員になってくんだろな(^v^)
 

乙一   「夏と花火と私の死体」     集英社文庫

 9歳の弥生は、夏休みのある日五月に木の枝から突き落とされて死んでしまう。 健と五月の兄妹は弥生の死体を隠す為に、石垣の上にある穴にまで死体を運ぼうとするが・・・何度も見つかりそうになりながらの悪夢のような4日間が始まった。

 ホラーとかそういうんじゃないけど、とにかく健くんが死体を隠す為に何とか大人を出し抜こうとする姿がなんとも怖いです( ̄◇ ̄;)
 一難去ってまた一難と、次々と見つかる危機に陥るもんだから、胃がキリキリしながら読んでました。
 無邪気な子供の姿を装ってるけど、後からそっと覗き込めば計算高くて人一人殺してしまう事も平気でやってのけそうな健くん・・・
 子供なんだけどそんな彼にとっても魅力を感じてしまう私^^; (ちょっと”GOTH”の”僕”を彷彿とさせるし♪)
 子供の頃に毎年夏は両親の田舎に帰ってて、夏祭りに行ったり、寺の境内で遊んだり・・・怖いだけじゃなくて、そんな郷愁も起させるような作品です。

 もう一編「優子」という短編が収録してあって、こちらは少し横溝正史風のホラー。 

乙一   「天帝妖狐」     集英社文庫

 顔中に包帯を巻いた異様な姿をした青年、夜木。 行き倒れていた彼を助けた杏子は、恐れながらも彼の中にある寂しさや優しさに触れ、心を通わせるようになっていく。 しかし、夜木が勤める工場で事件が起き、ついに彼の凶暴な素顔が姿を現す・・・

 「コックリさん」と言えば、子供の頃に誰でも一回はやった事があるんじゃないかな?
 かくいう私も「妖精さん」って名前で同じような事をやったことがあります(^_^;)
 そういう誰もがやったことがありそうな「コックリさん」が原因で恐ろしい呪いをかけられてしまった夜木・・・
 弱い心は誰にでもあって、そこに悪魔に付け込まれてしまうんだけど、心はそのままに恐ろしい姿に変わっていくのはなんて残酷なんだろう。 
 恐ろしい姿に身も心も成り果ててしまう事を必死で食い止めようとする彼の姿に涙してしまいます(T_T)
 安住の地を捜し求めて、彼はどこへ彷徨っていくのか・・・

 同時収録の「A MASKED BALL」は、学校のトイレにあった落書き通りに次々と事件がおこる話。
 トイレの落書きってついつい読んでまうよねぇσ(^◇^;)

椹野道流   「琴歌奇談」     講談社X文庫ホワイトハート

 敏生が絵の師匠と一泊二日の小旅行を終えて帰ってくると、家には森の姿はなかった。 森は一体どこへ行ってしまったのか? 森が引き受けた女の幻が見える”一弦琴”の謎を追って、敏生の戦いが始まる。

 今回はいきなり森と敏生が離れ離れになるので、いちゃいちゃシーンがちょっと少ないかな。
 いつもは「勝手にやっとれ!」やけど、違う次元の世界にいる相手を必死に想ってる二人に、いつになく「がんばれ!」って感じ♪
 人間でないものを愛してしまって、二度と戻れない別の世界で暮らしてる一人の女・・・ただただ彼が戻ってくる日を夢見て、でもその孤独はどれほどのものだったんだろう。
 それでも彼の愛の為に、永遠の時の中を生き続ける事を選んだ彼女の儚げな微笑に涙しました(T_T)

高村薫   「マークスの山」     早川書房 & 講談社文庫

 元暴力団員と高級官僚が謎の凶器で惨殺され、事件を追う警視庁捜査第一課七係合田刑事らは、事件の裏側に彼らが恐喝される何かがあるとにらむ。 そしてそれは16年前南アルプスで起った殺人事件へと繋がっていく。 第2、第3の被害者が出る中、合田たちは精神に暗い山を持つ冷徹な殺人者”マークス”を追いつめていく・・・

 全面改稿の文庫化で、持っていた単行本も再読しました♪
 文庫は何となくスッキリまとまってて読みやすい感じで、単行本のあのまとわりつくようなねっちこい暗さがなくなってたかな(^^ゞ
 私はどっちかっていうと、あのジメっとした感じが好きなんで前の方が好き。。。
 改めて読んでも、あの警察内部のリアルな描き方はすごいなぁ〜本庁と所轄の確執とか、所轄同士の情報戦とか、男世界のドロドロしたものがこれでもかってくらい出てくる。
 初めて読んだ頃は、「太陽にほえろ」や「特捜最前線」や「刑事貴族」の刑事ドラマでしか警察って馴染みがなかったから、こういう警察機構に結構ショック受けました( ̄◇ ̄;)

 そして高村作品にかかせない妖しい男同士の関係( ̄ー ̄) 
 合田刑事と義兄、加納祐介の関係にはイケナイ想像をしてしまう私・・・(笑)
 ただの手紙のやりとりや電話のやりとりなのに、そこからにじみ出てくる微妙な関係がいいんだなぁ〜
 

井沢元彦   「逆説の日本史7 中世王権編」     小学館文庫

 逆説シリーズ第7弾。
 足利尊氏の室町幕府成立から、義満の野望、義教の暗殺まで。

 室町幕府は南北朝で朝廷が2つに分裂するし、一番分からない時代でした(^_^;)
 知ってる事といったら、金閣寺を作ったのが足利義満って事くらい・・・
 でも、鎌倉時代からの流れが少しは分かったかな。
 教科書的な歴史を覚えることも大切だとか思うけど、歴史の流れとか、なぜその法律が出来たとか、なぜその本が書かれたかとか、そういう事を「逆説〜」読んでるとなんとなく分かってくるから楽しいんよね♪
 それにしても足利義教が人気ないのって、ホモだからって事も影響あるとか? ほんとかなぁ〜( ̄◇ ̄;)


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