2003年 5月

高村薫

レディ・ジョーカー

乙一

暗黒童話

小野不由美

東亰異聞

2003年4月へ         

高村 薫   「レディ・ジョーカー」       毎日新聞社     

 「マークスの山」「照柿」と続く、合田刑事シリーズ第3弾。
 シェア日本一の日の出ビールの城山社長が”レディ・ジョーカー”名乗る犯人に誘拐される。犯人の要求は現金20億円。しかし城山社長は警察やマスコミを欺きながら裏取引をしていく。決して知られてはならない過去の為に・・・

 上下巻900ページ近くの大作です。いやぁ、みっしり字が詰まってて、話の内容もみっしり詰まってます(^_^;)
 グリコ森永事件をベースに書かれてて、日本企業の体質とか株や総会屋や、そういう事にうとい私としては理解するのがなかなか辛かった・・・
 唯一、一応歯科衛生士免許を持ってる私は、歯医者の場面だけはあれだけのくどさも気にならずに「そうそう♪」って楽しく読めたわ(笑)
 犯人、被害者、警察、報道、この4つを柱に物語がそれぞれ語られてて、そのどれもが圧倒的なリアリティで迫ってきました。
 犯人グループの一人半田が、合田さんをねっとりジットリ妄想の中でいたぶってる姿が、何とも壊れまくってて凄いんだけど、合田さんの壊れ方も上をいってます。
 だって、その半田にず〜っと毎日手紙書いてんだよぉ〜 おまけににナイフを突き出す半田見て笑ったりするし( ̄◇ ̄;)
 でもそんなに死ぬ気マンマンなくらい絶望してた彼だけど、ついに義兄加納の気付かない振りをしてた気持ちを真っ向から突きつけられる事になって、やっと今までのつけを払う事になりそう。
 友情と愛と束縛と、お互いが築いてしまった複雑な関係がクリスマスイブに瓦解する事を願って・・・♪♪

乙一   「暗黒童話」     集英社     

 事故で左眼と記憶を失った奈深は、それまでの彼女とは中身はまるっきり違う人間になってしまった。 祖父の計らいで眼の移植をした彼女は、自分の記憶ではない誰かの記憶を見るようになる。 それが眼の元々の持ち主の少年の記憶だと気付き、彼女はそのルーツを辿る旅に出る。 しかし、そこには思いもよらない出来事が待ち受けていた。

 いやぁ、なかなか気持ち悪かったです(^_^;)
 いきなりカラスは眼をくわえてくるし、傘の先で押されて眼が飛び出るし、手足はない、内臓は出る、エトセトラエトセトラ・・・
 でもただのグロテスクな小説かというとそうでもなくて、記憶を失った奈深が元の自分とのギャップに悩み、周りの期待通りになれない自分を蔑んだり、そういうところは心が痛くなりました(T_T)
 そしてミステリーとしてもとっても面白いです♪
 左眼の持ち主の少年が最後に見た恐ろしいシーンを手がかりに、彼がやろうとしていた事、そして彼が死んだ訳を、自分のただひとつの存在理由として探ろうとする奈深。
 少しづつ真実に辿りつくところは、本当にドキドキしました。
 ホラー・青春・ミステリー、いろんな要素がつまってる小説です(^v^)

小野 不由美   「東亰異聞」     新潮文庫

 明治29年、帝都東亰。 魑魅魍魎が跋扈する世の中で話題になっているのは、赤姫の衣装を着て人を切り刻む闇御前に人を焼き殺す火炎魔人。 新聞記者の平川と友人の万造はこの事件に鷹司家の長男直と次男常の家督騒動がからんでいるのではと思い、詳しい調査に乗り出す。

 ”東亰”という架空の世界(東京のパラレルワールド)に跋扈する、妖しげな魑魅魍魎たち。 う〜ん、こういう話は好きですねぇ♪♪
 今回再読してみたけど、前に読んだ時を同じくらいこの世界にハマりました。。。
 闇御前が長い爪で人を切り刻んだり、火炎魔人がいきなり燃え上がったり、現実的には考えれんような犯罪なんだけど、その裏にある真実を知った時あまりの切なさに涙してしまった・・・
 こんな形でしかお互いの気持ちをしめす事が出来なかった直と常が、本当に悲しすぎて・・・(T_T)
 しっかし一体誰が本当の人間で、誰が人間じゃないのか。
 最後の最後で「え〜!あんたも人間じゃなかったのぉ〜(;゜0゜)」ってとこもあったりして、摩訶不思議な世界に漂ってしまいました♪
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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