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日本の作品

いわゆる文学小説

有吉佐和子 「悪女について」

 女実業家、”富公路公子”が謎の死を遂げ、彼女のいろいろな”顔”を27人の証言者を通して明らかにしていくという、ちょっと変わった小説です。

 有吉佐和子は、女流作家で私が1番好きな作家(残念ながら、昭和59年に亡くなりましたが)で、この小説はもう何回も読み直してるけど、何度読んでもおもしろいです。
 虚実入り乱れた彼女の人生にすごく憧れるんだけど、悲しいかな”美貌”も”知性”も持ち合わせてないので、平凡に生きてくしかない私(^^ゞ
 でも、1度でいいから、男たちを手玉にとってみたいもんだ。(ま、一生無理だろうけど・・・くすん(T_T))

<他に好きな作品> 芝桜 ・ 木瓜の花 ・ 母子変容

福永武彦 「草の花」

 まだ、結核の治療が手術しかなかった時代。 東京郊外のサナトリウムに入院していた男が、同室の入院患者に渡した日記には、彼の報われる事のなかった2つの恋が綴られていた。 

 この作家は、クリスチャンということもあり、死とか孤独とかに独特の感性があるように思います。
 この小説に出てくる3人の男女も、皆それぞれが深い孤独の闇を心の中に持っていて、でもそれを誰とも分かち合う事ができない・・・
 ”何処にいても同じだもの。何処にいても寂しいもの。”
 そんな言葉に、私は心を打たれました。

<他に好きな作品> 廃市

山崎豊子 「白い巨塔」 「続・白い巨塔」

 浪速大学付属病院の第1外科の助教授”財前五郎”が、教授昇進の野望の為に、患者を指示ミスで死なせてしまい、それによって巻き起こる栄光と転落の人生・・・

 この作家は、資料集めが半端じゃなくスゴイです。
 でも、難しい医学用語や、裁判用語が沢山出てくるけど、そんな事が気にならないくらいおもしろい!!
 金銭欲や名誉欲でドロドロしてる、大学病院の内部を本当にリアルに書いてあるので、絶対大学病院には入院したくないって思います・・・(^_^;)
 医療ミスに対する医師の姿勢は、最近のニュースを見ていても、今も昔もまったく変わりがない。
 きっと、病院の中には、まだまだ沢山の”財前”がいるんでしょうね・・・

<他に好きな作品> 華麗なる一族


歴史小説

司馬遼太郎 「燃えよ剣」

 幕末の動乱期を駆け抜けていった、”新撰組”。 近藤勇、土方歳三、沖田総司・・・彼らは何を思い、何を目指していたのか。
 教科書にも載ってない彼らの人生を、本当に生き生きと、かっこよく描ききっている小説です。

 私が高校生の時に、”新撰組ブーム”が周りで巻き起こって、手当たり次第にいろいろ読んだけど、やっぱりこの本が最高です!
 尊皇攘夷の流れ逆らって、あえて幕府はとして戦いを挑む彼らの姿は、刹那的なんだけど、あまりにもかっこいい。
 きっと、この本に出会えなければ、その後の私の人生に”歴史小説を読む”ということは無かったと思う。
 それくらい、大好きな作品です。

<他に好きな作品> 関が原 ・ 項羽と劉邦 ・ 世に棲む日々

池波正太郎 「真田太平記」

 信州の小さな領国を守る真田一族。
 関が原の戦いや大阪の陣を通して、敵味方に分かれてしまう信行と幸村兄弟や、真田家の草の者と甲賀忍びの壮絶な戦いが繰り広げられる。

 この本を読むきっかけになったのは、NHKの”真田太平記”を再放送でみたからです。
 それまでは、ほんとに真田幸村という名前を知ってる程度で、どんな事をしたとか全然知らなかった・・・
 大阪の陣で、もし幸村が全指揮をとっていれば、もしかしたら豊臣の時代はあんなに早く終わらなかったかもしれない。
 でも、結局それが変える事のできない、時代の流れってものなんでしょうね。

井沢元彦 「逆説の日本史」 1〜5

 古代からの日本の歴史を、従来の教科書的な考え方じゃなく、著者独特の考え方で紐解いていくという本。

 とにかく日本は”怨霊”と”言霊”に支配されているという考え方で、ちょっと理屈っぽいと思うところもあるけど、今まで自分が考えてもみなかった視点で歴史を見つめなおせて、結構楽しいです。
 日本人独特の考え方なのに、まったく気が付いてないこととかを指摘されると、”あ〜、やっぱり私も日本人だなぁ”と改めて思ったりして・・・
 小説じゃないけど、その時代の小説を読むときのいい資料になってます。


ミステリー、などなど

藤原伊織 「テロリストのパラソル」

 新宿中央公園で起きた爆弾テロにより、60年代の学生運動の真っ只中を生きた一人の男の過去と現代が結びつき、彼と彼の愛した女、そして友の過去を清算するために立ち向かって行く。

 主人公はアル中のバーテンダーのおっさんなんだけど、とにかくかっこいい!
 この作者の描く男たちは、いつもどこか枯れてて、そこにとても惹かれます。
 全共闘世代からはだいぶん離れてるから、彼らが何を求めて戦っていたのかあまり分からないけど、心の中に闇を飼ってしまった彼らの苦しみは少し分かるような気がします。

<他の好きな作品> 「てのひらの闇」

真保裕一 「ホワイトアウト」

 日本最大のダムに武装グループが立てこもり、50億円を要求する。 ダムの職員の富樫は、彼らに拉致された友の婚約者を救うため、たった一人で命がけの戦いを挑む。

 まるでスタローンの映画のような内容で、息つく暇もないようにスピーディで、とってもおもしろいです。
 自分の過失で友を死なせてしまったことを悔やんで、その為に絶対その友の婚約者を助けようとする富樫の姿は、本当にかっこいい。
 猛吹雪の中、ダムの構造を誰よりも熟知している彼が、圧倒的多数を相手に戦い、勝ち残っていく。
 人間は誰かの為に、ここまで強くなれるのか。 すごすぎる男です・・・

<他の好きな作品> 「奪取」

篠田真由美 「建築探偵桜井京介の事件簿シリーズ」

 ミステリーとしては、少し弱い所があるけど、私は”京介”、”深春”、”蒼”という、とてもアンバランスなんだけど、深い絆で結ばれている3人の関係がとても好きです。
 特に好きなのは、第4作の”灰色の砦”。 京介19歳の冬に起こった殺人事件で、このとき初めて深春との出会いが語られてます。
 今は、ちょっと歳をとってほんの少しは丸くなった京介だけど、19の頃は、本当に体中がハリセンボン状態・・・
 私なら、絶対友達にはなれません(^^ゞ
 ほんとに深春、あんたは偉い!
 まだまだ謎の多い京介だけど、たとえどんな残酷な未来が彼の前に立ちはだかろうとも、この3人なら、きっと乗り越えていけるはず・・・

<他の作品> 「未明の家」 「玄い女神」 「翡翠の城」 「原罪の庭」 「美貌の帳」 「桜闇」 

藤木稟 「陀吉尼の紡ぐ糸」

 浅草の花魁弁財天には妖狐が住み、昔から何人も神隠しにあっている。 そして昭和九年にもまた神隠しが起こり、新聞記者の”柏木”は盲目の美青年”朱雀十五”と共に、その事件に巻き込まれていく。

 この作品は、いわゆる京極系ミステリで、妖怪や怪しい宗教が出てくるんだけど、最後にはミステリとしての結末をちゃんと用意しています。
 本当に性格の悪い十五が、ただでさえ心のもろい柏木をどんどん追い詰めていくんだけど、こんな奴に気に入られてしまうなんて、ほんと不幸な男ですね(^^ゞ
 でもこの話を読んでいると、妖怪じゃなく、軍部の人間たちの方が本当の意味での妖怪のような気がして不気味さを感じます。